スピリッツと呼ばれる蒸留酒
まずは前提として、ジンやウォッカは”スピリッツ”と呼ばれています。 スピリッツとは蒸留酒のこと。蒸留酒とは醸造酒を蒸留して造ったお酒のこと。 ……といっても、なんのことやら良く分からないので非常に簡単に言ってしまうと、「ビールやワイン等、度数の低いお酒を火にかけて蒸留し、よりアルコール度数を高めたもの」がスピリッツです。 そしてその中でも、ジン・ウォッカ・テキーラ・ラムという4種類は、世界4大スピリッツとも呼ばれており、 カクテルの材料などとして広く親しまれています。

世界4大スピリッツ
それでは、カクテルの材料として使われていることの多い、世界4大スピリッツ(ジン・ウォッカ・テキーラ・ラム)についてご説明しようと思います。
【ジン】 ジンは大麦、じゃがいも、ライ麦などを原料として造られる蒸留酒です。 元々はオランダで薬用酒として造られていたという歴史からも分かるように、蒸留される際にネズの実(ジュニパーベリー)や、ボタニカルと呼ばれる薬草成分を加えて造られるのが、ジンの最大の特徴となっています。 ジン独特の鋭い切れ味や口内に広がる香りは、それら薬草成分由来のものです。 ちなみに、ジンという名前の語源は前述のジュニパーベリーから。 ジュニパーベリー→ジュニエーブル→ジュネーヴァと、伝わる過程でその呼び名が変化していき、最終的には、英国風に縮めて今の呼び方になったといわれています。 さて、そんなジンの飲み方としては、やはりジントニックが一番有名ではないでしょうか。 ジンをトニックウォーターで割る簡単レシピのこのカクテルは、いまや居酒屋さんでも気軽に楽しめるものになりましたね。 トニックという言葉には「活力を与える」という意味もあるようで、薬用酒であるジンとの相性は言うまでもありません。


【ウォッカ】 ウォッカも原料という点ではジンと同様に、大麦、じゃがいも、ライ麦などから造られています。 最も大きな違いは、蒸留した原酒を白樺の炭によってろ過させていること。 「生命の水」を意味するロシア語であるズィズネーニャ・ワダが縮まってワダ→ウォッカとなったという語源があるくらいに、 まるで水のようにまろやかでクセの少ない飲み口が特徴です。 クセが少ないため、カクテルの材料として使われることも多く、ウォッカをオレンジジュースで割った、スクリュードライバーなど、 柑橘類との相性は特に抜群です。


【テキーラ】 テキーラは他のスピリッツと比べるとその登場は随分と遅く、18世紀半ばごろに誕生したと言われています。 テキーラといえば、サボテンから造られるといったイメージがありますが、実際の原料は竜舌蘭という植物で、 形状としてはサボテンよりも、むしろアロエに似ています。 そんなテキーラの誕生はとても運命的。 一説には、18世紀にメキシコで大きな山火事が起こり、その焼け跡に転がる竜舌蘭から、独特の甘い香りのする汁が滲んでいることに気づいた人々が、それを蒸留してお酒を造ることを思いついた、と言われています。 そんなテキーラといえば、日本では罰ゲームとしてショットで飲まれているイメージですが、世界的ロックバンド・ローリングストーンズのミックジャガーが愛飲したことでも有名なテキーラサンライズなど、カクテルの材料として使われることも多いです。

}【ラム】 最後にご紹介するのはラムです。 ラムといえば南米のカリブ海、海賊たちが好む、荒くれ者のお酒というイメージですね。 ところが意外にもその味の方は、そんなイメージにそぐわず非常に甘いです。 というのも、ラムはサトウキビから造られるお酒なので、その風味も自然と甘みが強くなる傾向にあります。 わたしが以前飲んだことのあるラムでも、まるでカラメルを飲んでいるのかと思うほど甘いものもありました。 ラムは甘党の人に最もオススメしたいスピリッツですね。 ちなみに大航海時代の頃には、原料となるサトウキビ農場を巡って、海賊たちの植民地争いが頻発していたとも言われていますので、 ラムに対する海賊たちのイメージは、そこから来ているのかもしれませんね。 さて、そんなラムを使ったカクテルとして、ここ最近急激に知名度をあげているのがモヒートです。 ラムにライムとミント、砂糖を加えソーダで割ったこのカクテルは、南国のイメージにもあるように、暑い夏にぴったりの清涼感溢れる飲み物です! また、ラムの甘みはお菓子作りにもよく利用されています。 レーズンをラムに漬け込んだ、ラムレーズンなどは有名ですよね。